健康コラム

癌は増えている?

これまで消化器癌を中心に現在の癌治療について書いてきました。確かに日本人の死亡原因の第1位は癌であり全体の1/3(毎年おおよそ30万人)が癌で亡くなり、今後も増加すると予想されています。以前にも書きましたが癌は遺伝子の病気です。細胞分裂を繰り返す中で遺伝子の異常が起きますので、年齢を重ねる毎に遺伝子の異常、すなわち癌が発生する機会が増えてきます。高齢化が進めば癌の発生率も高くなるわけです。さて毎年どのくらい新たな癌が発生しているかと言うと日本の総人口1億2000万人から毎年40万人の新たな癌患者が発生しその生存率は約50%とされています。生存率50%とは半分は治るということです。現在では胃癌、大腸癌、乳癌などの早期癌に限れば生存率は90%を越え、今や癌は不治の病ではありません。

鹿屋市のここ数年間の死亡数は年間平均650人で約30%にあたる200人が鹿屋市においても癌で亡くなっています。現在の鹿屋市の人口は約81000人ですので計算上は年間約260人の癌患者が発生していることになります。生存率50%を掛けると毎年130人が治る癌で残りの130人は治らない癌が発生している事になります。これとは別に興味深い数字があります。鹿児島県内の検診で発見された胃癌の生存率は86%、乳癌では96%、大腸癌96.5%、子宮癌99.3%です。

検診ですので症状のない症例がほとんどで早期癌が多く含まれると考えられますがそれにしても非常に高い生存率です。鹿児島県の検診の受診率は肺癌、胃癌、大腸癌、子宮癌いずれも16~20%です。これを鹿屋市に限ると肺癌2.65%、胃癌7%、大腸癌10%、子宮癌13%と低下します。かかりつけ医で毎年検査を受けていれば検診を受ける必要はなく、受診率の低さが一概に悪いとは言えませんが、癌治療の原則である早期診断、早期治療を行うことにより現在50%の生存率を75%に引き上げることが可能と言われています。その為にはやはり検診や人間ドック、かかりつけ医での定期検査が必要ということです。