健康コラム

精神科診察室

科学・医療の分野では21世紀は「脳の時代」とも言われております。遺伝子解析を含め、分子生物学が飛躍的に発展し、様々な病気の本質に科学が迫ったのが20世紀でした。しかし、現在でも謎が多く、積み残した課題が最も多い分野が「脳」であり、脳の働きの一部である「こころ」であります。そして今世紀は、科学者を始めとした多くの英知がこの問題に取り組み、謎が解かれて行くことが予測されているのです。

このような時代背景もあるのでしょう、今年のこのコーナーは現在鹿屋市で精神科診療に携わっている医師が担当させて頂くことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。 さて、私たち精神科の診察室には色々な人たちが訪れますが、初めて来られる方の態度はおよそ4つに分けられます。

第一に自分を分かって欲しくて仕方のない態度の方。様々な訴えを一生懸命に身振り手振りも交えながらなさいます。このような方は、概ね神経症と診断されます。いわゆる自律神経失調症といわれてきた方も苦しみや悩みを訴える能力を持つのでこのような態度を示されます。

第二に自分を分かるはずがないという態度の方。ぶっきらぼうに見えますが心のエネルギーが低下しているためで、うつ病の方が多いです。

第三に自分はすでに分かられているという態度の方。このような方が来られると、私たちは緊張します。精神分裂病という病気が考えられるからです。そして最後に、自分を分かって欲しくない、分からせまいという態度の方。これは、精神病質と言って性格異常や行為障害などの方に多い態度です。佐賀のバスジャックの少年などはこのような態度を示していたのではないかと思われます。

このように、私たちは患者さん方が診察室に入って来られたときから、患者さんを理解するための観察を始めています。