健康コラム

せん妄とは

せん妄は認知障害、睡眠障害、幻覚、興奮、錯乱、徘徊などを伴った急性の精神症状群で、中枢神経が侵襲されたときに起こる精神障害の代表的なものです。今日では精神症状が加った意識障害の特殊型(意識変容)と考えられています。

意識障害は混濁と変容の2つの軸で考えると分かりやすい。意識混濁は覚醒、傾眠、半昏睡、昏睡へと連続していく系列で一般的に周知されている意識障害です。意識変容とはもうろう、夢幻様状態、アメンチアなど独特の用語で表されていましたが、今ではこれらをまとめてせん妄(夜に多く発症するので夜間せん妄とも)呼ばれています。

せん妄の病因は多要因と考えられ、特に高齢者になるにつれその傾向が強いようです。多くの要因には直接原因、誘発因子、準備因子がありもっとも頻度の高い直接原因はやはり薬物中毒です。せん妄を引き起こしやすい薬物は抗パーキンソン薬、抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬、アルコールなどです。誘発因子は不眠、心理的負荷、環境変化などで、在宅の高齢者が入院や施設入後に不安や環境の変化からせん妄になった話はよく耳にします。また、手術後のせん妄ならびに ICU ・CCU(集中治療室)でのせん妄も同様の状況と思われます。次に、準備因子とは脳血管性痴呆、アルツハイマー型痴呆など中枢神経の脆弱因子です。

せん妄の治療はやはり薬物療法が中心で抗精神薬であるハロペリドールの投与が第一選択薬です。その他、睡眠・覚醒リズムの確立させるように努めることが大事です。