健康コラム

ドクター・ショッピング

風邪や糖尿病など比較的良く知られた病気の場合は、どの病院にかかったらよいのか迷うことはほとんどないと思います。しかし、ある種の癌や神経疾患など余りなじみの無い病気にかかった時、本当にその先生の診断や治療で良いのか、疑問や不安が起こってくることもあります。そのような際には、かかりつけの病院以外の専門医や大学病院などを訪れることもあります。このことは、最近は、「セカンド・オピニオン」を求める行動と呼び、患者さんの権利として認められてきています。

しかし、それほど深刻でなくとも、体のホテリやダルさ、頭重感、肩凝り、圧迫感など多くの身体不調が次々に起こって来た時など、どの病院にかかって良いのか迷う事も多いかと思います。このような時かかりつけの病院で治療を受けても、うまくいかない場合に、内科や外科、耳鼻科や産婦人科などさなざまな専門医を次々に回って行く方がおられます。このような方を、「ドクター・ショッピング」と言い、お医者さんにとってあまり歓迎されない患者さんの響きがあります。このことは、よく「先生を信頼したら治る」と言われることと関係することです。

信頼があれば病気が治るということは正しい話です。しかし一方、患者さんが医者を信頼しようと努力するのには無理があるように思います。信頼は自然と湧き出で来るものであり、無理をしては作れるものではないからです。「ドクター・ショッピング」も実は、方々専門家を回って、相性の良い専門家に出会うチャンスを作ろうとしている患者さんの姿であると考えます。例え、結局最初のお医者さんに戻ったとしても、今度は、自然に信頼感が湧いていますから、治療もうまく行くことが期待されます。

じっくりと、相性の良い治療環境や治療者を探してあちこち回ることは決して無駄なことではありませんし、恥ずかしいことでもありません。