健康コラム

乳癌

男性に乳癌はできる?
乳癌の一番の要因は何かと聞かれたら「まず女性であること」と答えますが、乳癌の患者さんの1000人に1人は男性です。高齢の男性で乳房が大きくなったり、痛みで受診されますがほとんどが加齢に伴う男性ホルモンの減少による婦人化乳房です。女性の癌死亡の第4位が乳癌ですが乳癌の治癒率は75%で手術の外にも放射線治療や化学療法、内分泌療法が有効で比較的治りやすい癌の1つです(それでも4人に1人は乳癌で亡くなります)。

乳癌に自覚症状はなく多くは自己触知もしくは検診、人間ドックで発見されます。また血性の乳汁分泌は注意すべき症状です。乳癌治療法の第一選択はやはり手術ですが日本においても1985年頃から乳房を残して切除する乳房温存術が始まりました。2000年の全国集計では乳房温存療法の割合は約40%で直径3cm以下の癌がその適応とされ多くの場合は術後に放射線療法とホルモン療法が併用されます。3cm以下でも多発癌や術後の放射線療法を受けられない場合など乳房を温存できないこともあります。
今後手術の前に化学療法、内分泌療法で癌を小さくしてから手術することで乳房温存療法の割合は増えると予想されますが、その適応や切除範囲、切除方法、術後の治療法に施設間で多少のばらつきがあるのが現状です。乳房を残ことが出来ない場合でも希望があればおなかや背中の筋肉、皮膚を用いて乳房を再建することも可能です。ただし乳房再建術は保険給付外ですので実費となっています。乳癌だがらといって乳房がなくなって悲しまない女性はいないと思います。
3cm以下の乳癌を発見すれば乳房を温存できる訳です。ゴルフボールが約4cmですので3cmの乳癌を触知することはそれほど難しくはありません。胃や腸などの癌と違い乳癌は自分でさわって発見できる癌です。自己検診の方法がいくつかありますが入浴中に石鹸をつけてつるつる滑る状態で触るのは比較的簡単でおすすめです。
これまで検診を受けたことのない方は早速今晩、試してみて下さい。