健康コラム

精神病の早期治療

不幸にも精神病に罹患去れた患者さんを我々精神科医が初めて診察するまでに、すくなくとも6ヶ月は経っています。なかには、10年以上経過した患者さんを連れてこられる御家族を数年に一度は経験します。
他の疾患に比べ、精神病の発症から初診まで長い時間を要するようです。その理由として主に以下のことが考えられます。

  1. 精神病(特に精神分裂病)は一般的に思春期に発病するため、身内の人々が精神病に特有の言動変化を思春期の問題なり学校や職場のストレスのせいにして、しばしば病気だと思わない。
  2. 家族のなかには精神疾患への偏見ならびに恐れのため異常な言動の深刻さを否認したがる。
  3. 神保健サービスをどこでどのようにすれば受けられるのか分からない等です。


早期治療の遅れは、概して長期の入院治療が必要となり、家族ならびに社会生活や仕事の中断を余儀なくされるばかりでなく、精神病の長期予後(社会復帰を含む)に重大な影響をおよぼします。
我々精神科医は可能な限り早期の段階で初発患者さんを発見し、入院治療が必要である方の尿印期間の短縮化ならびにその後の社会復帰に努力していさす。しかし、早期治療の遅れなどの理由から、現時点では治療抵抗性の精神病の患者さんが長期入院されているのは事実です。
近年、従来にない新しいタイプの精神病治療薬が開発されたり海外から導入されて、初回精神病の発病から外来治療で可能な時代になりつつあります。さらに、脳や遺伝子の解明が進むにつれ、画期的な精神病治療薬が開発されるでしょう。近い将来、「精神病、恐れずにいたらずの時代」が来てくれることを確信しています。