健康コラム

おしりの話

いぼ痔、切れ痔など肛門疾患はなかなか相談しにくい場所でもあり悩ましい病気です。
日本人の成人の約半数には症状のあるなしに関わらず大なり小なりいぼ痔(痔核)が存在します。
これらの内、切れ痔(正式病名は裂肛)はそのほとんどが手術の対象とならずに薬(軟膏、坐薬、飲み薬)で治療します。ただし切れ痔を繰り返し肛門が狭くなると便が出にくくなりますので肛門を広げる手術が必要になる場合があります。いぼ痔(正式名は痔核)の多くも薬で治療します。いぼ痔は、出血や痛みが主症状ですがだんだん大きくなり排便時に肛門から脱出してくるようになります。
最もすすんだ状態が脱肛です。脱出したいぼ痔の痛みや出血は薬では治りますが脱出するいぼ痔しのものは薬では治せませんので手術が必要になります。

手術方法は基本的には入院して脊椎麻酔下(腰からの麻酔)に切除術を行います。切除術の以外にもレーザー凝固や結紮術などがありますが保険上の問題もあり一般的ではありません。いぼ痔の中でも比較的多いのが外痔核です。外痔核はもともと肛門の縁に出来るため押し込むことが出来ず痛みも強いのですが手術が必要となることはまれで薬でなおります。どうしても痛みが強い場合のみ局所麻酔下に切除しますがこの手術は入院の必要はありません。いぼ痔の患者さんの約10~20%が手術が必要とされますが多くは薬と排便習慣の改善で治りますので心配せずに専門医を受診してください。いぼ痔、切れ痔の外に痔瘻、肛門周囲膿瘍があります。これは肛門周囲に穴(瘻孔)を形成し感染を繰り返すため手術が必要です。

先に述べたように多くの痔疾患は薬で治り手術の必要はありませんが直腸癌、肛門管癌も出血と痛みがありますので早めに受診して検査を受けることをおすすめします。追記:いぼ痔。切れ痔の予防に入浴し、おしりの血行を良くして清潔にすることはいいい方法ですが、痛みが強く腫れも強いときにサウナや温泉で長時間温めると逆効果になりますのでご注意下さい。