健康コラム

人工内耳

聾(ろう)の人や、補聴器の効果のない高度難聴の人が、音が聞こえるようになることは、以前は、不可能でしたが、これらの人々に福音をもたらしたのが、人工内耳です。人は、内耳という所(耳の一番奥にある)で、音を感じる細胞が、音を電気信号に変換して、脳に送って、音を認識しています。聾や高度難聴の人は、この内耳が壊れている場合がほとんどです。そこで、考えだされたのが、人工内耳です。

人工内耳は、音を分析する本体と電極からなっています。まず、内耳に電極を挿入する手術が必要です。音が入ると、本体が音を分析し、電極に電流を発生させ、この電流が脳に伝えられ、音を認知することができるようになりなす。音の種類により、発生する電流は変化します。人工内耳が起こす電流は、人の内耳の細胞が起こす電流に比べると精密さでは劣るため(内耳の細胞は3万個に対し、電極は24個)、ちょっと違った音に聞こえるようですが、術後、リハビリを行うことで、大抵は通常の会話はできるようになりなす。

今までは主に、大人の中途失聴者(言語習得後に難聴になった人)を対象に人工内耳の手術が行われていました。これらの人は、音や言葉の記憶があるため、比較的容易に会話もできるようになります。特に難聴になってからの期間が短い人ほど、成績はいいようです。最近では、先天的な難聴の子供にも手術が行われるようになりました。特に3歳ぐらいまでに、人工内耳を入れてやると、言葉も覚え、普通の子供と同じように、会話もできるようになるようです。先天的な難聴の場合は、時期が遅くなると、脳の方が、言葉が入っても言葉として認識できなくなるようで、いかに早い時期に難聴を診断し、手術を行うかその子供の将来が左右されるといっても過言ではありません。そのようなお子さんをお持ちの、お父さん、お母さんその子の将来のためにも、できるだけ早く、耳鼻咽喉科医い是非ご相談下さい。