健康コラム

膵臓癌

秘めたる臓器 膵臓
膵臓は血糖のコントロールに必要なホルモン(インスリンとグルカゴン)と食べ物の消化に必要な消化酵素(アミラーゼやリパーゼ)をつくります。膵臓癌の治療成績は悪く悪性腫瘍の死因の第5位です。治療成績の悪い原因として、膵臓は胃の裏側で症状が出にくく、早期に周囲臓器に浸潤してしまい発見されたときには進行癌であり手術ができる人は30~40%にすぎません。また、放射線療法、抗ガン剤も効きにくいことが膵臓癌の治療を困難にしています。

膵臓癌の85%は膵臓の頭の部分にできますが近くを総胆管(胆汁が流れる管)が走行するため膵臓癌が総胆管を閉塞し胆汁の流れが悪くなり黄疸が出現し発見されます。膵臓の頭の部分以外にできると症状は出にくく、腹痛などの症状が出た時には進行し手術できない場合が多く認められます。初期には症状が出なくて、症状が出たときには進行し治療ができない、その為、膵臓は秘めたる臓器と言われるのです。現在、膵臓癌の手術5年後の生存率は9%で胃癌60%、大腸癌70%に比べて非常に悪く、手術に放射線療法や抗ガン剤を併用する治療が行われます。手術以外の治療成績はもっと悪く長期生存例は0%です。しかし小さな膵臓癌、たとえば1cm以下の膵臓癌の5年生存率は50~60%であり現段階では1cm以下の膵臓癌をどのようにして発見するかが問題です。
もちろん1cmでは何ら症状は出ません。その為、膵臓癌のハイリスク群を見つける必要があります。膵臓癌の20%に糖尿病を合併していますので、糖尿病のコントロールが急に悪くなった人や検診や人間ドックの腹部エコーで膵臓に何らかの異常を指摘された人がハイリスク群と考えられ厳密な経過観察が必要と言えます。その他、膵臓癌の危険因子として肥満、たばこ、過度のアルコールがあげられます。
何の病気もそうですが生活習慣の改善と定期検診が重要なことに変わりはありません。