肺癌(癌死亡の第1位) 今日から禁煙
皆さんもご存じの通り肺癌の危険因子はたばこです。1日20本×20年で肺癌のリスクは急速に上昇します。先進国の中で肺癌の死亡数が増えているのは日本だけで、これは喫煙率に相関しています。他の先進国では国策としての禁煙キャンペーン、未成年者教育、たばこ広告規制を通じて喫煙率が低下し肺癌の発生率が下がり、喫煙率が上昇している日本だけが肺癌の発生率が上昇しています。
若年者の喫煙と女性の喫煙が増えて、さらに子供を含めた受動喫煙も肺癌のリスクを上げます。肺癌の治療成績を悪くしている原因の1つは早期発見が少ないためで肺癌症例の約80%は切除不能です。検診で発見される数が少なく、また発見された時点で進行し切除出来ない症例が多くを占めます。
肺癌は小細胞癌(15~20%)と非小細胞癌(80~85%)に分類され、小細胞癌は進行が早く手術適応になりませんが非小細胞癌に比べ抗ガン剤と放射線療法が効きやすいという特徴があります。逆に非小細胞癌は抗ガン剤と放射線療法は効きにくく、治療の第1選択は外科切除です。切除後の5年生存率は約50%、腫瘍径3cm以下でリンパ節転移のない症例に限ると5年生存率は80%と報告されていますのでこの様な症例を早期発見することで肺癌の治療成績を上げることが可能と考えられます。早期発見の為には毎年胸部レントゲン撮影を受け前年と比較することが重要で、疑いがあれば胸部CT検査や喀痰検査を行います。肺癌の症状は血痰、咳、息切れなどがありますが早期肺癌では全く症状がなく、症状が出てからは遅いと思って下さい。
「喫煙が肺癌リスクを大きくし、また肺癌患者の生存を不良にする十分な証拠が蓄積されたことを踏まえて、日本肺癌学会は、医療従事者はもとより広く国民全体にタバコのない社会づくりを強く勧告する。」これは平成12年11月に出された日本肺癌学会の禁煙宣言の一部です。今日からあなたも禁煙に取り組んでみませんか。