これまでおなかを大きく切開して手術していた胆石の手術は胃カメラを小型化した腹腔鏡の開発で大きく様変わりました。1~2㎝の小さな傷から直径1㎝の腹腔鏡を挿入しおなかの中をテレビモニターに写し、モニターを見ながら手術します。腹腔鏡のほかに直径0.5~1㎝の専用の手術器具を2~3本挿入しますので、1~2㎝程の傷が合計で3~4カ所残りますが、これまでに比べて傷が小さく手術後の痛みが軽く手術の翌日から歩くことが出来るようになり食事も摂れ、入院期間も1週間前後に短縮され退院後も早期に仕事へ復帰出来ます。日本では1990年ごろから腹腔鏡下の胆石手術がはじまり急速に広がり今日では胆石手術の標準的手術となっています。
最近では胆石以外の手術にも応用され、現在保険適応とされている手術には胆石、総胆管結石のほかに、胃癌、大腸癌、肺癌などがあります。いすれもこれまでの手術に比べ傷は小さく、入院期間は短縮され体に優しい手術ですがこの手術の欠点は前回述べた内視鏡治療と同様に病気の進行度、部位、術前の合併症の有無などに制限があり適応が限られているところです。
今日の外科手術は体に優しい手術をめざして先ずは内視鏡治療でおなかを切らずに治します。次に内視鏡治療が出来ずに手術が必要なら腹腔鏡下手術で傷を小さく、術後の痛みを軽くして入院期間を短くします。
腹腔鏡下手術の適応でなければこれまで同様に開腹術を行いますが、新しい手術法や器具の導入で機能温存し出血量を少なくし、手術時間を短くする事が可能となっています。これまでの開腹手術の約半分は内視鏡治療や腹腔鏡下手術に変わっていくと考えられますので言い尽くされた言葉ですが、より体に優しい治療を選択できるように早期発見、早期診断が肝心ですので定期検診を受けましょう。