消化器(食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肝臓、膵臓、胆管)の病気に対して胃カメラ、大腸カメラ、十二指腸カメラを駆使して行う治療法で内視鏡装置や処置器具の開発によりこれまで開腹手術の適応であったいくつかの病気が内視鏡治療の適応になっています。胃潰瘍、十二指腸潰瘍からの出血は90%が内視鏡下止血術で対応できます(でも、出血する前にちゃんと潰瘍の治療を受けるのが先決です)。
また食道、胃、大腸のポリープや早期癌に対する内視鏡的切除術は入院期間も開腹手術に比べ短く、なんと言ってもおなかに傷が残りません。ただし切除出来る部位や大きさなどに制限がありすべてのポリープ、早期癌が対象とはなりませんのでご注意下さい。
胆管に出来た結石も内視鏡的に取ることが出来ます。ただし胆管のみに結石が出来ることは少なく多くの場合は胆管の結石合併していますので胆石を別に手術する必要があります。それでも胆管の結石を内視鏡的に切除出来るようになり入院期間は随分と短くなりました。
これらの治療はいずれも病気を治すための手段として開発進歩してきましたがこのほかに切除出来ない癌による症状を緩和するための内視鏡治療も進んでいます。食道癌や大腸癌による狭窄症状(食事が通らない、便が出ない)に対し内視鏡的に狭くなったところを広げてチューブを挿入し食べ物や便が通れるようにしたり、膵臓癌や胆管癌で黄疸が出たときに胆管を広げて胆汁の流れを良くすることも出来ます。
内視鏡治療は体に負担の少ない優れた治療法ですので内視鏡治療の適応となる早期発見、早期治療が必要です。内視鏡は診断から治療の道具として進歩し内視鏡で見つけて内視鏡で治す時代が始まっています。
次回は体に優しい手術 腹腔鏡下手術のお話です。